衝撃実験棟

衝撃実験棟は、国立大学で唯一、火薬類を用いた総合的な爆発・衝撃実験を実施できる施設です。施設内には2基の爆発ピットを備えており、爆発ピットAは、高速度撮影による現象の可視化や各種計測を伴う実験に使用しています。爆発ピットBは、主に試料回収実験に使用しています。これらの爆発ピットで1回の実験に使用できる火薬類の最大量は2 kgです。各爆発ピットで発生した爆発ガスは、スクラバーを備えた排気設備で処理した後、屋外へ排気されます。

また、ワンタイムエナジー試験室では、1 g未満の少量火薬類を用いた各種試験を実施できます。コンクリート・石材破砕試験室には、2.8トンクレーンと地下実験空間を備えており、重量物や大型試料を対象とした破壊実験が可能です。

さらに、水素・メタン・プロパンなどの可燃性ガスの爆発実験にも対応しています。爆発ピットAには水素濃度計を設置しており、水素濃度を監視しながら安全に実験を行うことができます。

可視化・計測

爆発ピットAには複数の観察用孔が設けられており、隣接する計測室から爆発・衝撃現象を安全に光学観察できます。写真は、計測室に設置した高速度カメラと、爆発ピットAに通じる観察用孔を示しています。

高速度撮影には、島津製作所製のHPV-X2およびHPV-1と、カラー撮影に対応したPhantom V7.2を使用しています。HPV-X2は最短100 nsの撮影間隔で最大256枚、HPV-1は最短1 µsの撮影間隔で最大100枚の連続撮影が可能であり、極めて短時間に生じる高速現象の観察に使用しています。一方、Phantom V7.2は、数ミリ秒以上にわたる現象の撮影に使用しています。撮影画像から、デジタル画像相関法(DIC)による変位・ひずみ解析や画像温度解析を行うことができ、高速変形に伴う変位、ひずみおよび温度の分布を時系列で評価できます。

照明装置として、Cavitar製CAVILUX Smart、岩崎電気製2 kWメタルハライドランプ、日新パルス電子製アークフラッシュを備えており、観察する現象や撮影条件に合わせて使い分けています。また、複数台のオシロスコープ(帯域幅:最大4 GHz)、圧力センサーおよび動ひずみ測定機器を備えており、高速度撮影と同期して爆発圧力、爆風圧および動ひずみを計測できます。

火薬衝撃銃

火薬衝撃銃としては大口径となる、口径40 mmの装置を備えています。火薬の燃焼によって飛翔体を最大約1 km/sまで加速し、試料に高速衝突させることで、金属、コンクリート、ポーラス材料などを対象とした高速変形、衝撃圧縮、衝撃破壊および高速衝突現象に関する実験を行うことができます。

実験は、ターゲットチャンバー内を10⁻³ kPaオーダーまで減圧して行います。写真に示すように、ターゲットチャンバーには大きな観察用窓を備えており、広い視野で、飛翔体の衝突から試料の変形・破壊に至る一連の過程を高速度撮影できます。また、BNCポートを備えているため、高速度撮影と同期して各種計測を行うこともできます。

衝撃大電流発生装置

株式会社ニチコン製の衝撃大電流発生装置を備えています。静電容量は12.5 μF、充電電圧は10~40 kVで、最大10 kJの電気エネルギーを蓄えることができます。40 kV充電時の短絡電流は、放電開始後約10 μsで約100 kAに達します。高電圧プローブおよびカレントモニタを備えており、放電時の電圧波形と電流波形を測定できます。

金属導体(細線や箔)に衝撃大電流を流すと、急激な加熱によって導体が溶融・気化し、衝撃波を伴う爆発が生じます。本装置は、この爆発を利用した火薬類の起爆、発生する衝撃波の評価・利用、および爆発によって金属導体をナノ粒子化する材料合成実験に使用しています。

インターネットCMで見る爆発実験施設

過去に本施設で撮影されたインターネットCMです。映像を通して、爆発ピット内部や実験の様子をご覧いただけます。