水中爆発におけるバブルパルスの高速度撮影
水中で爆薬が爆発すると、固体の爆薬は高温・高圧のガスに変化し、球状のバブルを形成します。バブルは勢いをもって膨張するため、内部の圧力が周囲の水圧より低くなってもすぐには止まらず、その後、水圧によって押し戻されて収縮します。収縮したバブルも同様にすぐには止まれず、内部圧力が再び高くなることで、もう一度膨張します。
このように、バブルが高速で膨張と収縮を繰り返し、そのたびに圧力波が発生する現象をバブルパルスと呼びます。実際には非常に高速な現象であるため、肉眼でその詳細を捉えることは困難ですが、高速度ビデオカメラを用いることで、その様子を観察できます。
また、映像中に画面が一瞬白くなる場面があります。これは、水中衝撃波が透明な観察窓に到達して反射する際に生じるキャビテーションによるものです。バブルが収縮した後の再膨張時にも、それが確認できます。
衝撃波なのに、ビール瓶は壊れない?|爆薬の動的作用
水中で、ひも状の爆薬を爆発させた様子を高速度撮影した実験映像です。撮影間隔1 µs(100万分の1秒)×100枚で、約1万分の1秒(100 µs)の現象を捉えています。
爆薬の爆速は水中の音速よりも速く、爆轟波面(発光して下方に移動する面)から水中衝撃波が発生します。衝撃波とは、急激な圧力変化を伴い、音速を超えて伝わる波です。
映像では、衝撃波がビール瓶に到達し、その表面で反射する様子を見ることができます。衝撃波は非常に高い圧力を持っています。それなのに、ビール瓶は壊れていないように見えます。
では、衝撃波は何もしていないのでしょうか?
衝撃波で亀裂、ガスで破壊|爆薬の動的作用とガス膨張作用
上の動画と同じ水中爆発を、より長い時間スケールで高速度撮影した実験映像です。
爆薬が爆轟すると、固体の爆薬は高温・高圧のガスに変化し、急速に膨張します。そのガスが水を押し、水を介してビール瓶に大きな力が作用します。
しかし、ガスが大きく膨張する前のビール瓶に注目してください。すでに亀裂が入っています。
先に到達した水中衝撃波によってビール瓶に亀裂が生じ、その後、高温・高圧のガスの膨張によって瓶が大きく破壊されます。
爆薬の作用には、衝撃波による瞬間的な動的作用と、その後のガスの膨張による作用があります。
爆薬は、採石場やトンネル掘削現場などで、岩盤を破壊するために使われています。爆薬が爆轟すると、まず強い衝撃波が岩盤中を伝わり、岩盤に亀裂を発生させます。続いて、爆薬から生じた高温・高圧のガスがその亀裂に入り込み、亀裂を押し広げることで、岩盤を大きく破壊します。つまり、爆薬は「衝撃波によって亀裂をつくる作用」と「高温・高圧のガスによって亀裂を広げる作用」の二つによって岩盤を破壊しています。
では、墓石などに使う大きな石を、できるだけ壊さずに採取したい場合はどうするのでしょうか。このような場合には、爆薬のような強い爆轟衝撃波を発生させず、急速な燃焼(爆燃)によって高いガス圧を発生させる「火薬」が使われることがあります。強い衝撃波による細かな亀裂の発生を抑え、主にガスの力によって岩盤を割るためです。
「火薬」と「爆薬」は似た言葉ですが、反応の仕方が異なります。爆薬は「爆轟」によって強い衝撃波を発生させるのに対し、火薬は主に急速な燃焼(爆燃)によって高いガス圧を発生させます。
水中衝撃波による断熱圧縮|発光と二次衝撃波
水中で爆薬を爆発させ、水中衝撃波が広がっていく様子を高速度撮影した実験映像です。
撮影間隔1 µs(100万分の1秒)×100枚で、約1万分の1秒(100 µs)の現象を捉えています。
映像中央の爆薬から水中衝撃波が発生し、周囲へ広がっていきます。
中央より少し下に見える丸い物体は、空気を封入した直径約10 mmのポリバルーンです。
水中衝撃波がバルーンに到達すると、バルーンは急激に収縮します。非常に短時間の現象であるため、内部の気体は断熱的に圧縮され、温度が急激に上昇します。
映像では、バルーンが強く圧縮された瞬間に発光する様子を見ることができます。さらに、その急激な収縮とその後の膨張に伴って、バルーンから二次衝撃波が発生し、水中へ広がっていきます。
