爆轟ナノダイヤモンド

爆薬の爆轟によって、数ナノメートルのナノダイヤモンドを合成する技術は古くから知られています。株式会社ダイセルとの共同研究では、その形成過程に着目し、形成機構を利用したシリコンのドープに取り組みました。
爆轟時の発光スペクトルを時間分解計測したところ、炭素原子の発光は観察されましたが、二原子炭素C₂に特有の発光は確認されませんでした。この結果と既報の分子動力学解析から、炭素原子6個からなる六員環、すなわちTNT由来のC₆構造が維持されたまま凝集し、液相を経てダイヤモンドへ変化する「C₆メカニズム」を提案しています。
この形成機構に基づき、C₆構造を有し、シリコンを含むトリフェニルシラノール(TPS)をドーパントとして爆薬に加えました。その結果、約7 nmのナノダイヤモンドが得られ、緑色レーザーを照射すると、738 nm付近にシリコン空孔中心(SiV中心)に特有の発光が確認されました[1]。この結果から、SiV中心を含むナノダイヤモンドが形成されたことが示されました。
異元素を導入したナノダイヤモンドの合成技術はさまざまに提案されていますが、数ナノメートルのナノダイヤモンドを高い生産性で合成できる点に、爆轟法の大きな利点があります。
[1]Y. Makino, T. Mahiko, M. Liu, A. Tsurui, T. Yoshikawa, S. Nagamachi, S. Tanaka, K. Hokamoto, M. Ashida, M. Fujiwara, N. Mizuochi, and M. Nishikawa, “Straightforward synthesis of silicon vacancy (SiV) center-containing single-digit nanometer nanodiamonds via detonation process,” Diamond & Related Materials, Vol. 112, Article 108248, 2021. DOI: 10.1016/j.diamond.2021.108248.
